共働き家族が増えている昨今、住宅購入する際にも、ご夫婦で住宅ローンを利用するケースが多くなっています。
住宅ローンを組むと、いろいろな税制上の特典がありますが、その代表が「住宅ローン控除」です。
ご夫婦がそれぞれ、それなりの収入を得ている場合、2人で「住宅ローン控除」を受けると所得税・住民税の還付が受けられるのでお得です。
次のようなケースが考えられます。
①ご夫婦の一方が単独で住宅ローンを組み、もう一方が連帯保証人になるケース
②ご夫婦が別々にローンの借入れを行うケース
③ご夫婦が1つのローンを共に借りる形~連帯債務者として契約するケース
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(注意)
①ご夫婦の一方が
単独で住宅ローンを組み、もう一方が連帯保証人になるケース
住宅ローン控除は、住宅ローン借入名義人にしか適用されないので、単独で借りた場合、借りた本人しか住宅ローン控除は適用されません。
つまり、ご夫婦共に住宅ローン控除を受けることはできなくなります。
なお、そのような場合でご夫婦共同で返済を行っている場合、理論上、贈与税がかかるケースもあるので注意が必要です。
②ご夫婦が
別々にローンの借入れを行うケース
別々の名義で住宅ローンを組むと、両方共、住宅ローン控除を受けることができます。
同じ金融機関から夫婦それぞれが住宅ローンを組む商品を「ペアローン」と言います。
ただし、そもそもこの住宅ローン控除は還付制度ですから、個々人の納税額以上の金額が戻ってくるわけではありません。
還付額をベースに返済計画を立てるのは本末転倒ですが、しっかり予測はできるようにしておきましょう。
③ご夫婦が1つのローンを
共に借りる形~連帯債務者として契約するケース
夫(または妻)が収入合算者として、連帯保証人、連帯債務者となってローンを組むケースがあります。
「連帯債務者」は、メインの債務者と共同(連帯)して債務を負っていることになるので、負担割合に応じた持分に債務を按分して、
それぞれが住宅ローン控除を受けることができます。
「連帯保証人」は、あくまでもローンのサブなので、住宅ローン控除はうけられません。 この点は注意が必要です。
夫婦で収入合算する際に、フラット35や財形住宅融資は「連帯債務」、民間金融機関の住宅ローンは「連帯保証」になるケースが多いので、
利用を考えている方は事前に確認が必要です。
|
ローン契約上の
夫・妻の位置づけ |
住宅ローン控除対象
対象:○/対象外:× |
団体信用生命保険の
保障対象
対象:○/対象外:× |
夫 |
妻 |
債務負担者 |
夫 |
妻 |
夫 |
妻 |
① |
夫の単独債務 |
借入人 |
- |
夫 |
○ |
× |
○ |
× |
② |
ペアローン |
借入人 |
借入人 |
夫・妻 |
○ |
○ |
○ |
○ |
③-a |
妻が連帯保証人
(収入合算) |
借入人 |
連帯保証人 |
夫 |
○ |
× |
○ |
× |
③-b |
妻が連帯債務者
(収入合算) |
借入人
(主債務者) |
連帯債務者 |
夫・妻 |
○ |
○ |
○ |
× |
※住宅金融支援機構の【フラット35】などでは、所定の特約料を支払うことで夫婦とも保障対象にできる場合(デュエット)もあります。
「連帯保証」
債務者が支払えなくなった場合にはじめて、連帯保証人に返済を求めることが出来ます。
借入者はあくまでも1人であって、他方はそれを保証しているに過ぎません。
「連帯債務」
債務者が連帯して返済する義務があり、いつでもどちらにでも返済を求めることが出来ます。
借入者と連帯して同一の債務を負っていることを意味し、連帯債務者は借入者と同一であると言えます。